横浜での一週間あまり、友人の持ち家で今は誰も住んでいない一軒家に滞在させてもらった。いつものようなホテル代がかからなかったので、ほんと、助かった!
が、前述したように(長い間住み手がいなかったから)ネットの環境はなし、テレビもなし、の生活となった。
だがまあ、なんとかこの孤独感を凌駕すべく、工夫を凝らした。動いているものがないことが寂しさの素(なにしろ時計も狂っていて精確な現在を示していなかった)だと思いついたので、ノートパソコンに取り込んでいた画像をiPhoto に移してスライドショーで楽しんだのだ。
結果、このお陰でたくさんの新しい作品アイデアが生まれた。夜という時間は人を想像と創造の世界に導く。夜と酒はどうか?次の朝日が昇ってもその熱は冷めることなくスケッチブックに残っていて生き生きとしている。
それはともかく、この住宅は、名建築を生んだ建築家のお弟子さんの設計なのだそうだ。案内されて初めてこの家を見たとき「すてきな家だな。」と思った。それが構造から来ているのか、デザインから来ているのか、内装から来ているのか、置いてある物から来ているのかはわからないが、たぶんその全体、つまり家を注文した以前の住み手の感性がそうさせているのだと思っている。
アールのついた壁。ランプの光。書物の趣味。
グラス類などのコレクションとホームバーへの入り口。 などなど、興味をそそる要素たっぷりの家であった。こういう趣味性の高い住宅は、住み易さとか将来への希望とか機能性とか必要充分であるとか贅沢だとかデザイン性が高いだとかとは異なるような気がする。 が、いずれにしても、住み手の人生を感じさせてくれるすてきな家だった。 小中学生のときに建築家を目指していたという過去があるので、建築にはそれなりの思い入れがある。