すっかり伸びて背が高くなった草を抜きながら進んでいく様は山に分け入ってする仕事みたいだ。
ところどころに野バラが生えているので、気をつけないとトゲで手を傷つけてしまう。気をつけていても、うっかりほかの蔓と一緒に握って引っ張って痛い思いをする。
この春にツルウメモドキを処理したはずなのに、蔓の生命力はすごい。すっかり復活しているし、むしろ遠くまで分家を増やしている。そんな蔓が東京の地下鉄路線みたいに縦横無尽に蔓延っているから作業はなかなか進まない。
そんな中で家の庭になかったはずの蔓を見つけた。五枚葉のアケビだ。
アケビにもいろんな種類があって、五枚葉のアケビは細く繊細だから細かい蔓細工に向いている。三枚葉のアケビはそれより太くて、地表に延びているその蔓は茶色く鞭のようにしなやかなので、編み籠にしたり陶器の酒次や鉢の把っ手などに使う。ムベというのもある。 だから五枚葉のものは陶器には使わないが、花と一緒に生けると味わい深い。秋の展示会の前には山へ採りにいったりもしたものだ。 作業中、ちらっと見えた蔓の葉がアオツヅラフジのそれとよく似ていたように思った。青紫の美しい実を付けるので、あれがそうなら嬉しい。来年が楽しみだ。