朝教え子から電話があった。お父さんが二十世紀梨やサンフジ(りんご)を作っておられて、これがまたとびきりおいしいので家では毎年ここからりんごを取り寄せている。が、今年はなかなか届かなくて実は心配していたところだった。
「今年は気候が暖かだったので、蜜のはいりが少ないものがあって甘みが足りないかもしれない。」と心配してきたのだ。「それは自然のものなのだから、そういう年があってもしかたないだろう、心配するな。」と応えたのだが、お父さんに電話をするように言われたのだとすまなそうに何度も謝る。
生産者のお父さんからすると、今年の出来は心許せないものがあったに違いない。
夜になって、そのりんごが届いた。さっそく食べてみたが、彼が言っていたように蜜が入っていなくて甘みがいつもより足りないように思った。
しかし立派な風格のあるりんごである。 「お近くのりんごの方がおいしいかもしれません。」と彼は言っていた。そう言わざるを得ない気持ちはどんなだろうか。 お父さんのりんごはどこのりんごよりもおいしかった!それは確かだ。だから息子としても悔しいのだと思う。 収穫の時期を見極め、収穫を決心し、梱包し発送するその折々の気持ちを考えると、ひとつひとつが愛おしく思える。 プロとはそういうことなんだと今朝の電話は教えてくれた。来年のできを期待する。