やじろべえでお琴のライブがありました。毎年この時期に行われるS藤さんのコンサートです。今夜はN村さんの筝との共演でした。
S藤さんは数年前に指を痛めてしまい、お琴を演奏することができなくなりました。しかし一昨年、やっと治って再びお琴に触れることができるようになり、このやじろべえでのコンサートで復活をしたのでした。演奏後のマスターがかけた言葉にS藤さんの目が潤み、みんながもらい泣きしたのでした。 そして今夜の演奏はすごかった。第1部の最終曲では鬼気迫るものを感じました。さらに第2部の始まりは八橋検校(やつはしけんぎょう)の「乱(みだれ)」でしたが、お琴の演奏は格闘技に等しいのではないかと思えるようでした。小柄なS藤さんの体はまるで何かと戦うかのようにダイナミックに動き続け、指先で弾かれる弦からは強い意志を持った音が飛び出てくるのでした。 古い絵巻に描かれている女性の演奏する姿はしなやかで、優しい音色が聞こえてきそうですが、実際にお琴を演奏する姿は厳しい練習を重ねることでできあがっていて、たぶん男たちは普段見ている女のしぐさとのギャップに衝撃を受けて、たちまち惚れ込んでしまったのではないかと想像してしまう。
最後にN村さんの三弦とのデュオ。
S藤さんの厳しい姿は楽山の塩の利かせ方を連想させられました。 これ、変?でも、こういう仕事しなきゃいけないな、と思いましたよ。