千曲市森にある「杏の里板画館」では15日まで「杏まつり手づくり展」が開かれ、裂き織りややきもの、板画、ガラス、版画の作品を展示しています。この催しは毎年恒例のもので、アンズの花の咲くこの頃に開かれます。
と同時に、今年は5月の27日まで装幀家の戸田ヒロコさんのお仕事を展示しています。

板画館の二階が展示室になっていてたくさんの本が並べられています。画像はほんの一部です。
僕も以前に単行本の装丁をしたことがあります( HP の works「その他の仕事」 )ので興味があったわけです。
戸田さんは、種村季弘さんの本をはじめ、たくさんの著名な著述家の本を手掛けていらっしゃって、実に興味深い。本に対する愛情はもちろん感じます。でもそれ以上に本質に迫っていくような勢いを感じます。私家本、限定本、全集の作品が個性的な表情で存在しています。
紙の箱の中に木箱が入っていて、その中に厚紙の箱、表紙、見返しと続き、もちろん文字のレイアウトなども手が入っている言わばミクロコスモスです。

これは厚紙の箱の中です。
刺し子の表紙や古い着物の生地を貼った表紙など。
戸田さんはご自分のことを「ブックデザイナーとか、装丁家というのではなくて、職人のようなものです。」と話しておられますが、かなり個性的です。
また板画館の主宰、森貘郎さんは「戸田さんの装丁は、いかにも「民芸でござい」の「民芸調」ではない。むしろ「民芸精神」を踏まえた本造りというべきか。普及本はともかく限定本や愛蔵本になると、タダの「本」ではなく、「ここまでやるか」という「本モノ」になって、本を手にとり頁を開くとドキドキするようだ。「本のいのち」だ。」と評している。
15日には会場で戸田さんのお話があるそうです。よかったら、どうぞ。