千曲市内にある料亭「柏屋」さんで、アート協会の会員でもある越ちひろさんが二階の大広間に絵を描いています。10月半ばぐらいから仕事が始まってもうすぐ一ヶ月、朝11時から広間にこもって夜は8時とか10時くらいまで描き続けているそうです。

広間の正面と反対側の面、両脇の壁や襖などかなりの面積を描く計画です。
制作中を訪ねて広間に入ったとたん「すごい!」と声を出してしまいました。TVでも何回か紹介されていましたので絵を見るのは初めてではなかったのですが、やはり実物を見ると違う感動があるものです。

仕事中でしたので短い時間だったのですが、制作に対する姿勢などをいろいろと語ってもらいました。
彼女の今の手段は、伝統的な紋様や過去の作品のディテイルを使用して空間にはめ込んでいく方法とドローウィングの二種類のようです。

「自分の制作スタイルを決めつけて仕事をしたくない。」と言っているように、ひらめきや時期的に変容していく内なる指向によって表現方法を変えているようです。
場所が場所ですから(壁紙や襖という)やり直しがなかなかできにくいという制約がありますが、思いついた手段を直接実現していくというやり方のおもしろさが現れていると思いました。料亭と言う空間が越さんの絵と出会うおもしろさ、すでにある模様も組み合わせると新しい表現になっていくおもしろさ、という魅力であるのでしょう。
僕自身のことを言うと、つい最近までは思いついたらスケッチをし、形作る前に修正を加え、作りながらひらめいていくという段階を踏んで制作をしていました。土をいじり始めて間もない頃や現在は、思いついたらすぐやってみる、というスタンスに変わっています。どちらの方法がどうなのか、どちらが変容の可能性を拡げる可能性を持っているのか、どちらが気持ちが乗るのか、、、、はいずれの日か答えが出るかな?
で、越さんはたぶん明日も没頭して描いていることでしょう。

今月の末には完成する予定のようです。もう一度取材します。