教師時代の最後の学年の主任だったI先生がいらっしゃった。注文してくださった大皿を受け取りにわざわざ来てくれたのです。
I先生は女性で気丈で頼りがいがあり心配りがきめ細かくて若い先生たちは「お母さん」と慕うような方です。もっとも、若い独身男の先生たちはことあるごとに胃袋まで満たしてもらっていたし、お見合い相手まで世話してもらっていたし、困ってしまったら電話で相談に乗ってくれますから「お母さん」になるわな、そりゃ。
で、ご多分に漏れず僕もI先生にはずいぶんとお世話になった口です。すでに結婚していたので、さすがに「お母さん」と呼ぶような関係ではありませんでしたが。
教師を辞めて陶作家になると宣言したときに、最初にやきものの注文をくださったのがI先生なのです。湯呑み5客です。おかげで、僕の創作人生のスタートには具体的な目標ができたのです。組織から出て、自由業というわけのわからない世界で生きていけるのか不安を感じている暇もなく、僕は湯呑み作りに勤しむことができたわけです。僕にとってはこの上ない餞(はなむけ)をいただいたのです。
という感じの先生なのですが、73歳というお歳を感じさせない若々しさでいまだに嫁の見つからない大勢の息子たちの面倒を見ていらっしゃいます。
で、で、お帰りのときに家のローリエをお土産代わりに持っていっていただきました。家を訪ねてくれた人でお料理に熱心なむきには、一枝切って差し上げています。「いる?」って尋ねて「いるっ!」って言ってくれると嬉しいですね。

家の庭にそびえるローリエの木です。植えてすぐにグングンと育って、まるで「ジャックと豆の木」みたい!とかトトロの木のようだとか表現されてるやつです。
枝を切るために久しぶりに近づいてみたら花が咲いていました。

柊(ひいらぎ)とか金木犀(きんもくせい)や銀木犀に似ていますね。もしかすると同じ種類なのかな?
ついでに楓の花。けっこうちゃんと見てないですよね。