県外から来られた方から依頼があって、向付を作ることになった。
その方がお茶席の亭主になってお客さんを迎えるのである。十二ヶ月の器を作ることになった。
よくお客さんから茶碗やお茶の器について尋ねられるが、普段使いの器やおもてなしの器というものとお茶席の器とは異なるから、今までちゃんと向き合ったことがなかった。だから、まずは勉強からだ。お茶の先生から来ないか?と言われても、なんだか堅苦しい気がして気持ちで避けてきた。
けれど、お茶碗の姿は美しいから今までずいぶんと見てきた。特に井戸茶碗にはとても惹かれるものがある。思えば、侘び寂びよりもきれい寂びに心が向くような気がする。
いずれにしても、これから機会あるごとに触れていかねばならない世界だ。
二年ほどかけて十二種生み出す。