夕方お隣のTさんが台風の雨の中、お花を抱いて訪ねてくださった。ご自分で長い間作っているキクを持ってきてくださったのだ。お盆の直前なので、いつもお墓やお仏壇に供えるお花に使わせてもらっている。
今年でキク作りは終わりにするそうだ。「限界ですわ。」そうつぶやかれた。今年お体をこわして入院されたと聞いている。「ごくろうさまでした。」と応えた。今年でたしか83歳だと思う。キク作りのほかに野菜も米も作っておられる。カボチャやキウリや長芋やインゲンなど、季節季節に持ってきてくれる。特に年末近くにいただく長芋は育てるのはもとより、掘り出すのも(あの長さですから)大変なシロモノだ。その汗の結晶を毎年ありがたくいただいて、親戚に贈るのにも使わせてもらっている。
いただきものをするからだけではなく、同姓の中でなにかとウチをたててくださる人なので、僕はかなり頼りにしているところがある。区長も経験されて立派に仕事をなさった。その人が現役をだんだん退いていく。
雨の中、自転車を引いて帰っていかれた。
最後のキクだ。長い間ありがとうございました。そして、ごくろうさまでした。